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脳神経内科

Cerebral and Neurological Internal Medicine

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頭が痛い…

頭が痛い イラスト

気圧の変動や生理前後に症状が出やすいというのは多くの方が経験することです。
では頭痛はどのような種類があるのでしょうか?代表的なものには片頭痛、緊張性頭痛、薬物乱用性頭痛、群発頭痛があります。それでは解説していきましょう。

1.片頭痛

ズキズキする痛みが特徴的です。典型的な症状としては目がちかちかするという『閃輝暗点』が前兆の発作で出ることがあります。しかし、このような典型的な前兆を認める方は20%程度であり、そう多くはありません。
起こる原因としては、三叉神経節説が有力です。脳の血管に三叉神経という感覚の神経が巻き付いています。
血管が広がったときにその神経が刺激され、痛みの原因となる物質が出て、血管に炎症が起き、神経が刺激され・・・という悪循環に陥り、頭痛が悪化します。

治療としては片頭痛の専用の痛み止めを使用していきます。また、1ヶ月の頭痛の回数が多い方や日常生活に支障が出る方は予防の薬を使うことで痛みの回数や程度を軽減することができます。

最近ではカルシトニン遺伝子ペプチド(CGRP)という物質をブロックする注射薬も出ています。内服薬で予防できない場合は医師の判断で注射薬をおすすめすることがあります。

2.緊張性頭痛

いわゆる肩こりによる頭痛です。全体的に締め付けられるような痛みが多く、首から後頭部にかけて両側に痛みが出ることが多いです。
お風呂で温まったり、ストレッチやマッサージなどでよくなるのも特徴です。体操などの薬物療法以外の治療で行い、改善が少ない場合は筋肉をほぐす薬などを使用し治療を行います。

この2つの頭痛の鑑別は難しいため、脳神経内科の専門医の診察が重要となります。

頭痛はストレスで悪化します。精神状態が悪くて、頭痛もひどいという方は非常に多いです。心療内科・精神科の治療を行うことで、頭痛が収まっていく方もいます。

他には痛み止めの乱用により起こる薬物乱用性頭痛や特殊な群発頭痛もあります。

3.危険な頭痛

一番怖いのは動脈のこぶが破裂して出血を起こす、くも膜下出血です。これはすごくひどい頭痛が起きます。バッドで殴られたような痛みという表現があるくらいです。普段頭痛のある方も、いつもと違うひどい頭痛がある時は注意が必要です。非常にまれですが、他の症状が全くなく、頭痛だけの症状で外来に歩いてくる方もいます。

出血量が多いと意識が急に悪くなったり、後遺症が残ることもありますので、きちんと検査することが大切になります。頭部CTで検査すれば診断はつきます。早期発見と早期治療が必要で、入院して治療を行う必要がありますので、入院施設のある病院に搬送させていただきます。
他に危険な頭痛としては脳出血、脳腫瘍、脳梗塞もありますので、しっかり検査することが重要です。

手が動かしづらい…、足が動かしづらい…、しびれが…

手が動かしづらい、足が動かしづらい、しびれが イラスト

この症状で皆様が想像するのは、『脳』で起きる『脳梗塞や脳出血』ですね。
ご年配の方に起こる病気のイメージがありますが、40歳くらいで発症する方もいるので、注意が必要です。後遺症を残さないために早期診断、早期治療が重要となるため、必ず受診をしましょう。診察で症状をしっかり把握し、頭部CTやMRIを見ることで診断を付けることが重要です。

では、なぜ動きが悪くなったり、しびれが出たりするのでしょうか?

神経は上から『脳』→背骨の中を通っている『脊髄』→脊髄から枝葉別れした『末梢神経』と繋がっていきます。
この3つのうちのどれかが何らかの原因で傷つけられることにより動きが悪くなったりしびれが出現します。

それぞれの神経が傷つけられる場所により症状が変わります。
そこで重要となってくるのが『神経学的診察』で、診察の所見から障害されている部位をある程度特定します。これとCT検査と照らし合わせることで診断が可能となります。必要があれば連携している病院でMRIなどの詳しい検査していきます。

『脊髄』では脊柱管狭窄症が多く見られ、他に多発性硬化症(自己免疫の障害で脊髄に傷がつく病気)が挙げられます。
『末梢神経』であればギラン・バレー症候群(感染後に神経に対して攻撃物質ができて末梢神経が障害される病気)や糖尿病性末梢神経障害、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(免疫が原因で慢性的に末梢神経が障害される病気)、物理的な圧迫によって障害される手根管症候群(正中神経の障害)などがあります。

歩きにくい…、ふらつく…、つまずきやすい…

歩きにくい、ふらつく、つまずきやすい イラスト

歩行障害は脳梗塞や脳出血などの脳の病気はもちろん、多発性硬化症や脊髄炎(脊髄に炎症が起きる病気)といった脊髄の病気でも出ます。

パーキンソン病では足が上手く踏み出せず、足が引っかかってしまうという症状が特徴となります。

また、ふらつく場合には小脳というところが障害されていることが多いです。具体的な病気としては小脳が萎縮する脊髄小脳変性症や多系統萎縮症があります。

このように歩行障害と言っても、いろいろな病気が考えられます。しっかり診察をして診断をつけていきますので、ご相談ください。

顔がゆがむ…、口の端から水や食べ物がこぼれる…

顔がゆがむ、口の端から水や食べ物がこぼれる イラスト

顔がゆがむ原因としては脳の病気と顔面神経が直接やられる病気があります。
脳では『脳梗塞』、『脳出血』、『脳腫瘍』などがあります。

顔面神経が直接やられる病気としては『末梢性顔面神経麻痺(ベル麻痺)』です。
この病気はヘルペスなどのウイルスが顔の神経に潜んでいて、免疫力が落ちた時にウイルスの活動が上がり、神経を傷つけて顔の麻痺が起きる病気です(同じようなメカニズムで起きる病気が帯状疱疹です)。

麻痺が出てからできるだけ早く治療を受けないと強い麻痺が残る可能性が高くなります。おかしいなと思ったらすぐに受診しましょう。

顔を動かすリハビリも非常に大切な治療になるため、当院では顔のリハビリ方法についてもお伝えします。

言葉が出ない…、うまく話せない…

いわゆる失語という状態です。

大まかに分けると、言葉の理解はできているのに話すことができない運動性失語と比較的スムーズに話せるのに言葉が理解できない感覚性失語があります。
両方障害されると全失語と言って、話すことも理解することもできないので『あ~』とか『う~』とか発声しかできない状態になります。

代表的な疾患では『脳梗塞』や『脳出血』、『脳腫瘍』がほとんどを占めます。

ろれつが回らない…

ろれつが回らない原因は脳にあります。脳が障害されることにより声を出すための筋肉に麻痺がおこり、発音がしにくくなります。
脊髄小脳変性症や多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)という難病の病気でもろれつが回らなくなることがあります。

飲み込みが悪い…、むせこむ…

これらの症状は飲み込みの機能が悪くなっている状態です。

『脳梗塞』や『脳出血』、『脳腫瘍』でももちろんでてきますし、脊髄小脳変性症や多系統萎縮症などの小脳の病気、他にパーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)があります。
筋肉の病気では筋炎、筋ジストロフィーなどがあります。他に神経と筋肉の連絡がうまくできなくなる重症筋無力症などもあり、原因は多岐にわたります。

めまいがひどい…

めまいがひどい イラスト

めまいは、『ぐるぐる回る感じ』『ふわふわする感じ』『ぐらぐらする感じ』と様々な表現をされます。どれも立派なめまいの症状です。

めまいの原因として一番多いのは良性発作性頭位変換めまい症という病気です。三半規管の異常で起こります。

内服薬や点滴でめまい止めの薬を投与することによって症状が改善することが多いです。
一番気を付けなければいけないのは『脳梗塞や脳出血』です。代表的な部位では小脳があり、ここに障害が起きるとめまいが出ます。他にも脳に炎症が起こる病気や難病に指定されている脊髄小脳変性症や多系統萎縮症でもめまいは起こります。

診察と頭部CTを受けてしっかり調べましょう。

半分だけ見えない…、一部だけ真っ暗に見える…

目からみた情報を処理して、映像化する機能がある後頭葉が障害されることによって起こります。
原因としては『脳梗塞』や『脳出血』、『脳腫瘍』といった病気が多いです。
また片頭痛の閃輝暗点という状態でも一時的に一部が見えにくくなることがあります。眼科で異常がない場合には受診しましょう。

手が震える…

手が震える イラスト

手が震える病気としては、パーキンソン病と本態性振戦が代表的な病気です。
震え方にはそれぞれ特徴がありますので、震え方を観察し、診察を行うことでどちらかを判断します。
本態性振戦は精神疾患とも関連があり、社交不安障害などに合併すると緊張した場面で震えがよりひどくなるため、そちらの治療も行うことで症状が改善することもあります。

顔の表面がぴりぴり痛い、しびれる…

顔の表面がぴりぴり痛い、しびれる イラスト

三叉神経という脳の一番大切な部分(脳幹部)から出てくる顔に関する感覚の神経に脳の近くを通っている血管が触れて刺激されることで、しびれや痛みが出ることがあります。
頬や下あごの部分に症状が出ることが多いです。

腫瘍があることもあるので、頭の検査は必ず必要になります。頭部CTで異常がないことを確認した後、必要があればMRIを行います。
内服薬で改善することが多いです。

物忘れがひどい…、同じことを言う…、怒りっぽくなった…、忘れ物をよくする…

物忘れがひどい、同じことを言う、怒りっぽくなった、忘れ物をよくする イラスト

認知症には大きく分けて3種類あります。全体の6割を占める『アルツハイマー型認知症』、2~3割を占める『脳血管性認知症』、『レビー小体型認知症』があります。

アルツハイマー型認知症は最近の記憶が障害され、すぐに忘れてしまう病気です。
脳血管性認知症に特徴的なのは『まだらぼけ』です。
長い期間の記憶は保たれますが、計算ができないといった症状や急に笑ったり泣いたりする感情失禁が特徴です。

レビー小体型認知症は『人や虫、蛇、動物、子ども』といった見えないものが見える幻視を特徴として、パーキンソン病と同じような症状も出る病気です。
頭部CTやMRIはもちろん、脳の血流検査を行い、診断をします。

認知症は診断をしっかりつけて、治療を行うことが大切です。また、怒りっぽさや妄想などの認知症の進行とともに出てくる精神症状もご家族の方が困る症状です。必要に応じて精神科の介入が必要であり、抗精神病薬や気分安定薬などを使用する場合もあります。

けいれん

けいれん イラスト

全身のけいれんが出たり、手足が部分的にけいれんを起こすこともあります。
側頭葉てんかんと言って、人によっては記憶がなくなり、いつの間にかご飯を食べ終わっていたり、気が付いたら違う場所に居たりといった症状が出る方もいます。大きな発作だと意識を失うこともあります。

原因としては脳の電気信号が異常放電することによって起こります。
生まれたときの影響や小さい頃熱を出すたびに痙攣を繰り返している場合、大人になってから発症する方もいます。
また、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍、脳炎などの脳に問題があって起きる場合やミネラルのバランスが大幅に崩れることで起こす方もいます。

頭部CTなどの頭の検査、脳波、血液検査などを行って、原因を特定して診断を行い適切な治療をしていきましょう。

意識を失った…

意識を失った イラスト

原因としては不整脈や神経調節性失神、起立性低血圧、てんかんなどがあります。

不整脈は徐脈と言って、脈が遅くなったり、止まったりすることで、脳の血流が低下して意識を失います。首を絞めたときと同じ状態ですね。
また,迷走神経反射といって、緊張状態が強く続くと血圧が低下したり、脈が遅くなります。これにより意識を失う病気を神経調節性失神と言います。

他に立ち上がったときに足の血管が上手く閉まらず、血圧が下がり意識を失う起立性低血圧という病気があります。
てんかんの場合は脳の機能の異常ですので、前後の記憶がなくなりますが、他の3つに関しては前後の記憶があるのが特徴です。

意識を失った原因がてんかんであることは意外と少なく、ほとんどの場合は他の3つが原因となります。

目の周りや頬がぴくぴくする…

目の周りや頬がぴくぴくする イラスト

大脳の中心部にある大脳基底核の異常や顔の筋肉を動かしている顔面神経という神経が血管や腫瘍で押されて、けいれんが起きてぴくぴくします。これを眼瞼けいれん、顔面けいれんと言います。

頭部CTやMRIで神経の走行を見る特殊な検査を行います。
薬である程度抑えられることが多いですが、薬で抑えられない場合はボトックス(神経を麻痺させる薬)の注射や手術が必要になるため、その場合は適切な医療機関へご紹介させていただきます。

まぶたが重い…、夕方になるとまぶたが下がる、怠くなる…

まぶたが重い、夕方になるとまぶたが下がる、怠くなる イラスト

これらの症状があった場合、重症筋無力症を考えます。
神経と筋肉のつなぎ目の部分で筋肉を動かすために神経の先から出されるアセチルコリンという物質が伝わりにくくなる病気です。

全身のCTや血液検査、筋電図などの検査が必要です。筋電図は当院でできないため、連携している病院で検査をしていただき診断と治療を行っていきます。

物が二重に見える…

物が二重に見える イラスト

目は目を内側に向ける神経(動眼神経)、目を上下に向ける神経(滑車神経)、目を外側に向ける神経(外転神経)の3つで動かされています。この目を動かす神経が障害されることで、物が二重に見えるのです。
原因としては糖尿病やフィッシャー症候群(ウイルスなどの感染後に神経に攻撃物質ができる病気)、多発性硬化症、原因が不明なものなどがあります。

帯状疱疹後の痛みがひどい…

帯状疱疹後の痛みがひどい イラスト

帯状疱疹は神経が傷つき、ぴりぴりした痛みが続きます。痛み止め、神経の痛みを直接緩和する薬、てんかんの薬などを組み合わせて治療を行うことで症状が緩和します。

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