心の症状も身体の症状もあるという方も、多くいらっしゃいます。当院では内科と精神科な両方面から原因を広く多角的な視点でみた診療を心がけています。まずはお気軽にご相談ください。
適応障害
健康上の問題、経済的な問題、対人関係の悩みなどのストレス因子をきっかけとして、様々な心身の症状が現れ、社会生活に支障をきたしている場合は、適応障害の可能性があります。ストレス因子に対する反応であり、症状はストレスが生じてから3ヶ月以内に出現し、情緒面や行動面で多彩な症状がみられます。
うつ病と似たような気分の落ち込みが認められますが、因果関係のはっきりしているストレスがあり、その原因が解決すると症状は次第に改善する点が異なります。ストレス因子が持続する場合には症状が長引くこともあります。本人の適応能力の問題だけとは限りません。どうしても合わない仕事、どうしても合わない人間関係などに悩み、努力はしてみたがどうしようもなかった場合に気分が落ち込んだり、夜眠れなかったりなどは、誰でも一度は経験しているものです。適応障害は誰にでもなる可能性があります。日常生活に支障がでるような症状がある場合は、ご相談ください。また、適応障害の40%が5年後にうつ病に移行する統計もあり、注意が必要です。
一人で悩んでいると辛いものです。当院では、まずしっかりと症状やきっかけとなった出来事などを伺います。そのうえで、適応障害がどのようなものかを丁寧に説明し、一人ひとりの状況に合せて回復への治療を一緒に行っていきます。例えば、会社員の方に関しては、休職をすすめたり、上司や会社の相談窓口(人事部など)、産業医などに相談することをすすめたりします。
うつ病
うつ病は、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神状態で、不眠や食欲不振、疲れやすい、集中力の低下などの身体的症状が現れ、日常生活に支障が生じてきます。精神的、身体的ストレスを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態であり、物の見方や考え方が否定的になる傾向もみられます。様々な要素が関係してうつ病を発症しますが、ある遺伝傾向、性格傾向を有する方は、よりストレスに対する影響が大きく現れ、うつ病を発症しやすい傾向にあります。うつ病にかかる人の割合は6.5%であり、これは約15人に1人の割合です。決して珍しいものではありません。また、日本の場合、若年者に加えて中高年でもうつ病の頻度が高いのが特徴です。
当院では、まずしっかりと症状やきっかけとなった出来事などを伺います。そのうえで、うつ病がどのようなものかを丁寧に説明し、一人ひとりの状況に合せて回復への治療を一緒に行っていきます。うつ病は50%の方が再発すると言われており、再発予防も大切です。良くなったからと言って自己判断で治療を中断しないようにしましょう。
双極性感情障害
双極性感情障害は100人に1人という比較的多い病気です。ハイテンションで活動的な躁状態と、憂うつで無気力なうつ状態を繰り返す病気です。躁状態のときには、周りの人たちが「ちょっとおかしいのでは?」と思えるほどその気分が行き過ぎ、他者と衝突しやすく家族を巻き込むことが多いです。本人が症状を自覚できないのも特徴です。双極性感情障害はかつて「躁うつ病」と呼ばれており、うつ病との区別が難しいですが、うつ病とは全く異なる病気で、治療も異なります。明確な躁状態があるⅠ型と軽い躁状態があるⅡ型に別れ、Ⅱ型が多いとされています。Ⅰ型は診断が比較的容易ですが、Ⅱ型は診断に難渋することが多いです。抗うつ薬を使用すると躁状態となるため、基本的には使用しません。気分を安定させる薬や抗精神病薬を使用していきます。
パニック障害
日本においてパニック障害にかかる人の割合は3.4%であり、これは約30人に1人の割合です。決して珍しいものではありません。また、日本の場合、平均発症年齢は23歳前後で女性に多い傾向があります。めまいや動悸、吐き気、発汗、窒息感、手足の震えといった症状が、突然理由もなく起こります。そのために生活に支障が出ている状態がパニック障害です。パニック発作を繰り返すことにより、発作がまた起こるのではないかと不安になる「予期不安」が出現することがあります。「死んでしまうかもしれない」という不安に襲われながら、救急車で病院に運び込まれるけれども、検査しても異常はなく、そのうちに苦しかった症状が消えてしまう経験をする方も多いです。薬物治療に加えて精神療法の併用が重要とされています。
強迫性障害(OCD)
強迫性障害は、自分でも無意味、不合理であると分かっていながら、何度も同じ確認などを繰り返してしまう状態です。例えば不潔に思い過剰に手を洗う、戸締りなどを何度も確認せずにはいられないなどがあります。確認に時間がかかり過ぎ、日常生活に支障をきたす病気です。薬物治療によってある程度改善することができるため、「考えずにはいられない」「せずにはいられない」ことで、つらい思いや不便を感じるときにはご相談ください。
社交不安障害
社交不安障害は比較的少人数の中で他人から見られることに対する恐怖を感じて人と関わる場面を回避してしまう病気です。人前で緊張しやすい性格の方は多くいますが、その苦痛が強く生活にも支障が出る場合は社交不安障害が考えられます。人前での食事や発言などに不安や恐怖を感じてしまうのが典型的な症状で、動悸や腹痛、手足の震え、声の震え、冷や汗、頭が真っ白になる、赤面などの身体症状が出やすいです。治療法としては薬物治療と精神療法が必要となります。
全般性不安障害
全般性不安障害は、場面や状況が明確な社交不安障害と比べ、家庭や学校、職場の他、交友関係、家族への災難、些細な日常生活の生活状況など多岐に渡り、強い不安と心配があらわれる病気です。心配を抑えることができず、疲れやすい、緊張感、集中力の低下、怒りっぽい、睡眠障害といった症状が出現します。薬治治療や精神療法を行います。
統合失調症
統合失調症は、10代~40代で発症し、約120人に1人がかかる疾患です。決して珍しい病気ではありません。遺伝的要因とストレスなどの環境的要因が発症に関係しています。脳の様々な働きをまとめることが難しくなり、そのため幻覚や妄想などの症状が起こります。幻覚とは実際にはないものをあるように感じる知覚の異常です。自分の噂や悪口が幻聴として聞こえてくるなどの症状もみられます。妄想には、嫌がらせをされていると思い込む被害妄想や、インターネットやテレビが自分に関する情報を流していると思い込む関係妄想などがあります。周囲から見ると、「独り言を言っている」「悪口を言われたなどの被害を訴える」「話がまとまらず支離滅裂になる」「一人でいることが多い」などがサインとして表れます。本人には現実味があり、それが病的な症状だとは気づきにくいものです。早く薬物治療を開始するほど、回復も早いと言われていますので、ご家族や周囲の方がサインに気づいたときには、早めにご相談ください。また再発をすることで認知機能や社会機能が落ちたり、症状が悪化するため、再発させないことも重要です。自己判断で治療を辞めず、相談しながら治療を行っていきましょう。
睡眠障害
睡眠障害とは睡眠に何らかの問題がある状態をいい、最も多いとされているのが不眠症です。入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟睡障害により、必要な睡眠時間が十分に取れず、睡眠の質が低下することで日中の疲労、集中力の低下、不調、気分変調などが起こります。
睡眠障害の治療では、生活習慣や睡眠環境を整えることが大切です。起床・就寝時刻を一定にして生活リズムを整えます。日中は適度に活動的に過ごし、寝る前のカフェイン、喫煙、アルコールは控えます。ぬるめのお風呂で身体を温めることも効果的です。就寝する部屋は快適な温度と湿度を保ち、できるだけ外の音は遮断して照明も適度に暗くしましょう。
生活習慣や環境を整えても改善しない場合には睡眠薬などの薬物治療が検討されます。